アブラハム・モスク

日~木 8:00-16:00
無料、但し女性で入場時にローブを借りた際は、出場時にチップ5NIS程渡しましょう。

アラビア語では「Al-Haram al-Ibrahimi」「Haram al-Kalil」とも。

ヘブロン アブラハム・モスク全景

非常に立派なモスク。金曜日は礼拝日なので、中に入れません。

アブラハム・モスクには、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の祖である、アブラハム(Abraham)と妻サラ(Sarah)、その息子イサク(Issac)と妻レベッカ(Rebecca)、そしてイサクとレベッカの子のヤコブ(Jacob)とその妻レア(Leah)、ヤコブの子ヨセフ(Joseph)が埋葬されていると言われています。

ヤコブは「イスラエル」の名ももち、ユダヤ人の祖です。

つまり、この場所はパレスチナ国内でありながらもイスラエルが渇望しているユダヤ教の聖地でもあり、1967年の第三次中東戦争後以来、モスクの一部が分割されイスラエルに占領された状態となっています。

イスラエルに占領されている部分は、パレスチナ人は入れません。

アブラハム・モスクの歴史

紀元前18世紀頃

※時代については諸説あり

この場所が初めて歴史に登場するのは、旧約聖書で、故郷と呼べる土地を探し求めて生きるアブラハムが、その道中にヘブロンで亡くなった妻サラを弔う為、この場所を先住民から買い取ったというくだりです。

旧約聖書 アブラハムによるサラの埋葬シーン

流浪の民アブラハムが、妻サラを埋葬するために初めて所有できた場所です。

もし、亡くなった妻を葬ることをお許しいただけるのなら、ぜひ、わたしの願いを聞いてください。ツォハルの子、エフロンにお願いして、あの方の畑の端にあるマクペラの洞穴を譲っていただきたいのです。十分な銀をお支払いしますから、皆様方の間に墓地を所有させてください。

『創世記23章8節-9節』

アブラハムの息子のイサクや、その息子のヤコブ(ユダヤ人の祖)も、この地は自分達の物だと、ここに永眠することを代々遺言し、そうされてきました。

紀元前1世紀

ローマ帝国下のユダヤの王ヘロデの時代に、聖地として建物が建設される。

4世紀

東ローマ帝国のコンスタンティヌス帝の母親であるへレンがこの場所を訪れ、ヘロデ王が作った建物を改築し、建物の東部分をキリスト教の教会にするように指示。

7世紀

イスラム圏支配下に入ると、イスラム教徒の為のモスクとなる。

ヘブロン アブラハム・モスクのイサクの広間

豪華絢爛なイサクの広間。宗教の祖たちの墓・エデンの園への入り口も必見。

1099年

十字軍がパレスチナの地を制圧すると、ここは再びキリスト教の教会になりました。入り口上のステンドグラスは、この12世紀の十字軍の時代から残っているものだと言われています。

十字軍は洞窟と骨を発掘し、ここが宗教の始祖たちの墓だと確信、それからここは非常に重要な聖地と位置づけられるようになりました。

1187年

イスラム系王朝のアイユーブ朝が十字軍からこの地を奪い返すと、今度は再びモスクとなり、4つの高い塔が加えられました(現在残っているものは2つ)。

中世紀にイスラムによる大幅な増改築を経て、現在59m X 34m、高さ18mにも及ぶ非常に立派な建造物となっています。

1967年

第三次中東戦争後、イスラエルがこの地の一部を「開放」、モスクの一部をユダヤ教のシナゴーグなどに改修。

ムスリム・パート

モスクの入り口にはチェックポイント(検問)があり、金属探知ゲート及び荷物チェックがあります。

ヘブロン アブラハム・モスクのムスリムパートへの検問

入り口には検問があり、荷物チェックなどを受けます。

それを抜けると、長い上りの階段を上がり、入り口に。入り口手前のモスクの壁面を構成する石には、非常に大きいもの(7.5m x 1.4m)が積まれており、当時の仕事を伺わせます。

女性の場合は、入り口でローブを借りて入場する必要があります。女性の筆者はパレスチナ人男性と行きましたが、返す時にはチップを渡すべしとのこと。5NIS程度でいいようです。

ヘブロン アブラハム・モスクの女性用ベール

女性は写真のようなローブを借りて中に入ります。返す時に5NIS程のチップを渡します。

2部屋ある礼拝場のうち、奥にあるモスクには靴を脱いで上がります。メッカの方向には各地の時間を示す電光掲示板もあり、すぐにわかるでしょう。

モスク内に所々見られる寄木細工の装飾は、11世紀頃に作られた傑作と言われており、必見です。

イスラエル・パート

ムスリム・パート入り口前のチェックポイントを奥に進んでフェンスを越え、イスラエル軍の建物の角を左に曲がった所の階段が、イスラエル・パートへの入り口です。

ヘブロン アブラハム・モスクのイスラエルパートの検問

モスクの一部はイスラエルの占領下にあり、別の入り口・検問から入ります。

再びチェックポイント(検問)がありますが、パレスチナ人は入場を許可されておらず来ないためか、警備はゆるゆるで、「イスラエルにようこそ!」と気軽に声をかけられたりします。

階段を登って入り口に入る時にまた荷物チェックがありますが、刃物などを持っていなければ問題なく通れます。

中はシナゴーグとなっていて、ユダヤ人がお祈りを捧げていますので、騒がないよう静かに見学しましょう。

ヘブロン アブラハム・モスクのシナゴーグ

中はすっかり、ユダヤ教のシナゴーグに作り変えられています。彼らにとってみれば「取り戻した」のでしょうが・・・

入り口で自由に貰えるパンフレットは必見です。

「本当はユダヤ人のものなのに、ムスリムに盗られた。私達は被害者だ」との主張が長々と展開され、最後には献金を促しています。

イスラエルがいかにしてパレスチナを侵略しているか、垣間見ることができるでしょう。